ご挨拶

福島県医師連盟委員長
(福島県医師会長)
石塚尋朗

令和6年6月9日に福島県医師連盟委員長に就任いたしました。

就任のご挨拶を皆様への問いかけから始めさせていただきます。

今の医療政策に満足ですか。

私は1994年の11月に米国から帰国し、それ以来30年この国の医療政策をみてきました。そして今、この国の貴重な医療現場が危機に瀕していると感じております。

首都圏の大病院の手術室で、山間部の診療所の診察室で、あらゆる場で私たち医師は医療の力をもって人々を幸福にすることを実践しております。

日本医師会の医の倫理綱領にはこう記されています。

「医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康維持増進、さらには治療困難な人を支える医療、苦痛を和らげる緩和医療をも包含する。医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。」

この基本に忠実に生きることが私たち医師の心髄であり、医師を医師としてあらしめるものであると考えるときに、同時にその難しさを痛感します。その理由は日々の診療の中に見出すことができるでしょう。

この30年、目まぐるしく変わる医療政策に私たち医師は翻弄されてきました。

そして医師たちの幸福感(達成感といってもよいでしょう)は徐々に失われてきているような気がします。

このあたりで私たちは医師として基本に忠実に生き、そして達成感を味わうことのできる環境を取り戻す活動を始めなければなりません。

東日本大震災と原発事故という二重の危機に見舞われた本県はいまだ復興途上にあります。加えてコロナウイルス感染症の流行を経験し、疲れ果て、生活習慣を意識する余裕もなく過ごしてこられた多くの人々がいます。この状態を何とかしなければなりません。私たち医師がそれぞれの場所で充分に力をふるうことができる環境を実現していただかなければなりません。

皆様が国政の場に私たち医師の声を確実に届け、それを形にしていただくことを期待しております。

 

2024年10月